NaFu!国際協力事業 
スリランカに井戸を贈ろう!プロジェクト<現地下見調査視察訪問>
(2009・7・24日本出発~2009・7・31日本帰着)



報  告  書



1.
訪問者:(NaFu!)国際交流ならふれあいの会 代表 野原純子
        (NaFu!)国際交流ならふれあいの会 会員 加藤喜代子
    協力者:奈良女子高校生徒会
・スリランカ国際理解・協力取り組み:文具750点以上+メッセージ集
    ビジョンメガネ
・メガネ修理・メガネ寄贈協力
    NaFu!スリランカにメガネを贈ろう!プロジェクト協力賛同者
・募金・メガネ回収協力
後援:奈良県・奈良市・奈良県教育委員会・奈良市教育委員会・奈良県ビジターズビューロー・奈良シルクロード博記念国際交流財団・奈良女子大学
主催:(NaFu!)国際交流ならふれあいの会 スリランカチャリティ関連事業
・平成21年度奈良県地域貢献活動助成事業


2.
スリランカ国受け入れ総責任者:
ダンミカ長老 ダルマアショカ寺院 コロンボ市
所在地:VEN.S.DHAMMIKA
DHARMASOKA TEMPLE
MANTRIMULLA ROAD
ATTIDIYA DEHIWALA
SRILANKA


            協力者:ミルミニ女史大統領官邸秘書
            案内人:二ラント氏&ナリン氏
(セイロンサニーホリデー)
3.
スリランカ国井戸贈呈候補地調査・視察訪問記録
7月25日(土)
<井戸掘り予定地その一>ポロンナルワ州ホネ‐ガム村 住人約250家族 
シンハラージャブラ小中学校:生徒数137名(1954創立)
回答者:I.M.G.Asanka wimala校長

<学校訪問1.>:
バレーボール大会は地域で優勝という学校を訪問
・学校で新しい井戸を求める理由と現状:
政府が行おうとした農業のプロジェクトは水がないので中止になってしまった。現在パラクルム湖(人造湖Length12.38km)から週2回のみ給水,使用に制限があり全く足りない状況。学校で井戸を掘ったが水源には10m以上要するため深さが足らず、作業が留まったままである。また、テロの襲撃があり地域では被害が大きく困窮のまま掘ったが水が涸れている井戸状況の説明を聴く。現状、湖から給水するが涸れ果てるときがある。水を掘りあてるのは外れる場合もあり、究極に井戸が必要であるが今は得ていない厳しい状況を聴いた。「是非井戸が何としても必要です。」と校長先生が訴えられた。休日の訪問だったので生徒10名ほどで迎えてくれ女子生徒がキングココナツにストローを差し、目の前に出して下さった。
喉の渇きもあり急ピッチで飲み始めたが掌にもつ1L以上のキングココナッツはなかなか減らないように思えた。
日本から持参した文房具鉛筆、シャープペンシルなど約200本を先生の前で生徒に進呈した。次に学校を後に自動車で約2キロ奥地へいくと村の衆が待機し輪になり対面した。村長と村の衆からの歓待の挨拶をいただき、手作りのお菓子でもてなされた。取り分け木の葉から煎じたという珍しいお茶を賞味、案内の僧侶は、「健康良薬として私も毎日飲んでいるお茶です。」と真っ白な歯の笑みを見せ勧められた。私たちも飲んでみた。生まれて初めて口にするが何と美味!このお茶の味は特別の体験だった。
村の長からは「村では何より井戸が差し迫り必要。」と状況と挨拶を述べられた。次にスリランカの北部の困窮地域を視察し人口湖から給水しているというその大きな湖を見学した。

7月26日(日)
<井戸掘り予定地その二>ポロンナルム・ミルラーナ村‐約80家族約400人
 案内長:ダンミカ長老縁故僧侶
・村の水事情:
水質検査の一番初歩の段階として、水を飲めるか如何か検査のためコロンボに持っていく。深さ12fから水が出る場合~225fの場合もある。
1985年政府から村へ視察に来たが、それっきり誰も訪れることもなくこの村の井戸づくりは見放されたままであった。村人らで井戸を掘ったが4メートルあたりで井戸の直径に値する大きな岩に当り結局泉を得られずその井戸掘りは途中の状態。今は、2キロ以上離れた隣の村に徒歩と自転車で水を汲みに行き毎日その作業にかかる時間が長くて学校の授業がままならない。一方、ため池の水を飲水に使うと伝染病になる恐れもあるが現状は炊いて使っている。ため池(人口湖)は、洗濯や沐浴をするために日常的に利用している。また夜中には象がため池に水を飲みに来て田畑を荒らす害にも見舞われている。日照りが続くとため池は涸れて田畑への給水も困難になり不作になる。

(学校訪問2.)同村の日曜学校:
日曜日朝から寺院に集まり年齢層別3か所ほどに分かれて先生が指導(無報酬)、各教科を教える。10名~30名ほどのグループは小学生・中学生・高校生が学んでいる。
テロで両親を失い貧しい家庭の子供らが多い。14歳のクラスは仏教を勉強中の子どもらがいる。持参した文具を配布。子どもたちにとって文房具は貴重な物であることが受け取る姿から感じ取った。紙や物を大事にすることに気付いた日本の高校生の気持ち(生徒会活動での取り組み)をこの国に届けた。「有る者から無い者に譲る行為は大きな意味があること。」を届ける立場で認識した。鉛筆は日本でも使えるが譲ってくださった気持ちを有難く感じ受け取る・・・『助け合い』だと思った。



7月27日(月)
・ 完成した井戸の見学 2008年度に日本国大阪有志一同から寄贈された井戸を現在活用している村を訪問した。2村350家族で井戸を利用している。村の生活は便利になり村人の表情が井戸のない村の人々と全く違って活気があり明るく感じた。

(学校訪問3.)井戸を掘ったが4メートルで岩に当り掘りあてず途中で仕事が止まったまま、湖から来る装置の立派な井戸設備の水は1週間に2回使用できるが、井戸が必要であることを訴えられた。水が無いので草木も枯れて育たない状態。水汲み作業で授業に支障し勉強の妨げとなって生徒にとっては重労働であることを聴いた。

(学校訪問4.)工業高校を訪問、国内でも自動車・農業機器の整備や組み立てを学ぶ設備のある数少ない高校であるが、高い学業を目指すにも高校も大学も少ないことを併せて聴いた。この学校には、井戸(湖からの)はあるが給水装置が壊れていて不便を来たしていた。

7月28日(火)
・メガネ贈呈式
2008年12月にコロンボ港に到着~2009年を通し配布作業は続き、全メガネ4800個)
贈呈主:(NaFu!)国際交流ならふれあいの会 
協 力:日本国ビジョンメガネ
今回贈呈対象者:キトゥルゴダ村民メガネ登録者130名他
贈呈式日:2009年7月28日(火)午前11時~
場所:キトゥルゴ村(コロンボ南方一時間半に立地)村会所

・総括:
7月24日夜にスリランカに到着、翌日から活動開始した。
生い茂るココナツ畑・ジャングルをワゴン車で通り抜けながら一路ボロンナルワの北の村に向かった今回の井戸下見調査の旅は、像の足跡、マングース、孔雀、アリ塚・・さまざまな光景に出会いながら凸凹の道を時速40から60キロで1方1車線を対向しながらコロンボから約250キロ離れたスリランカの北部へ、「最後の都キャンディから更に北進ポロンナルワ、そこは遺跡の町だった。そして更に北へ北へと向かうと困窮している村に着き最初の会所を訪問した。途中道端で車を降り小休止、案内人が屋台でキングココナッツを飲むことを促し屋台のおじさんが目の前で1Lほど入っているココナツの実の付け根部分を大胆にカットしストローを刺して差し出してくれた。一個15ルピ約15円!この国のどこに行ってもおもてなしはキングココナッツだ、味は馴染める。ややポカリスゥェットと似ていて自然な甘さを含み常温で飲むのが通常。喉が渇いているのでぐいぐいと飲むが、なかなか減らない大きな天然ドリンク、キングココナツ!目の前にも天高くそびえて生い茂り、大変手に入り易い。同じくバナナ、パインアップル、パパイヤ、マンゴー果物も豊富で米は二毛作。紅茶生産は世界第2位など農産物に恵みの多いスリランカ国の資源の豊かさには西洋人が「光り輝く楽園」と称え、その実際を感じ入る。自然の恵みを享け人の生活が成り立つ。その暮らしの中から生まれる智慧はスリランカ流、似合ったその生活から生まれることに納得する。
日本のように冷蔵庫で冷たく冷やさないと置けないことにもあまり拘らず、高価なクーラー設備もこのあたりには皆無。ハエは大変多かった。

井戸を掘る予定の場所や隣の村からも汲みに来る現状、井戸不足は見て取れた。一方掘ったが泉を得られず出ないままの井戸を持つ学校を訪問。そして村の丘陵を活かして上にある寺院が運営する日曜学校を訪問し、気の毒にもテロで親を失った子どもが多いことを聴き取った。贈呈物資の鉛筆を手にすると子どもたちは手にした一本を掲げはにかみ喜んだ。テロは5月に終結したという、北部の村は荒れ果て弾丸の痕、焼かれた家も見た。そんな子らの憩いの場所として或いは教育と環境を差し出す日曜学校。運営は村人と僧侶で、お姿に感銘した。今回井戸下見調査の出会いはさまざまに厳しい実情を見ることに至った。以上が、下見調査の一つ目の目的である。「井戸を求める最も困窮する場所への訪問だった。そして2つ目の目的は、昨秋奈良に所在する高校生生徒会活動で取り組んだ「スリランカに文房具を贈ろう!キャンペーン」だ。回集した鉛筆・シャープペンシル・ボールペンなど合わせて750点以上をスリランカに運び今回の訪問先各村で配布した。全校生徒(奈良女子高校)が一人一人書いたB5版のスリランカへのメッセージも手渡した。高校生からのメッセージには、「思いやり」や「命を大切に」、「スリランカの復興を祈ります。」などさまざま記され各地で読み上げ伝え、贈呈した。
三つ目は、メガネ贈呈式(今回で最終配布)。配布作業は2005年に当会が訪問し開始されていて、今回の贈呈式で終えることになる。大切な目的だ。一路ダンブーラ~キャンディを経て28日は、首都コロンボから南に一時間の移動でカルトゥラ市からまだ30キロ山奥にあるキトゥル村にて最後のメガネ贈呈式を行った。その目的があったのだ。継続の最終2008年度県下をはじめ日本各地から集められたメガネはビジョンメガネにて修理を施しスリランカ人に役立つメガネとして命を吹き込んだ。新古メガネ4800個(2005年度贈呈式では4600個を終える。)は2008年7月~12月にかけ順次日本から輸送していた。到着後メガネ配布はダンミカ長老が調整しメガネを必要とし一番困っている村から長老の協力で順に配り続けられていた。
昨年度は当会会員奈良市在住サマン・ペレラ家族がNaFu!を代行し配布作業を率先し、今回は最終配布場所キトゥル村を訪問し贈呈。農業中心のこの村に入りワゴン車を降りると民族舞踊と太鼓の音が鳴り響き我々一行を村の会所に誘い、溢れんばかりの人々が集まる会所にて「メガネ贈呈式」に至った。開会の祈りがダンミカ長老に唱えられ歓迎の踊りが始まった。 最初に「仏様に捧げる舞」を10歳位の天才少女が華麗に足、首、手さばきでスリランカ独特の太鼓に合わせ披露、女の先生が打つ続ける厳かな太鼓の音色が踊りを操るようで、あたりは神聖な空気が張りつめていた。そして清らかな不思議な空間を少女が空を舞うように踊りその神聖さを分かち合い、独特な空気を感じた。贈呈会場窓からも村人の顔、顔・・子どもたちの顔もぎっしり並び約150名のメガネを必要とする村民一人ひとりの名前を長老が読み上げ名前カードの入ったメガネをその一人一人に手渡すことができた。これが3つめの訪問の理由であった。村民は長老の前にくると距離を置きつつも必ず五体倒置をして深く頭を垂れ合掌して礼儀を保っていた。その姿はこの国の有姿だった。スリランカでは僧侶は誰よりも敬われていることがよく分かり僧侶の仕事の役割は偉大で深さも広さも尽きないことを直視し感動した。

・スリランカ実情と訪問の成果
「コロンボ旧市街地は爆弾の日々が続いて安心できる日はなかった。」と私たちの到着後に案内人ナリン氏から聴いた。大都市が狙われ、政治は不安定の上自爆テロ・・埋めてある爆弾もあるという。2004年12月の津波被害も甚大で、「スリランカに生まれるが、これまでは一回も津波が無く、津波は初めて・・絶対忘れられない。」と砂浜に乗りあがった車両で生活をする当時のヒッカドゥアの民から聴いたことを思い出した。「砂浜から山に走って逃げた人々の姿も思い出すとつらい」ことも。今年5月に遂に30年続いた内戦が終結されスリランカに新時代が到来した。日本でもその情報は予め知っていたが現地では、国民が平和を願い適えられた喜びをあちらこちらで祝い声や張り紙にしていた。今は、安全に治安されていることも今回の人々の顔や雰囲気で分かった。
メガネプロジェクトの最終段階の配布作業と井戸贈呈についてと現地の水のニーズについて様々な状況を知っておいてほしいとスリランカダンミカ長老は今回NaFu!現地入りを導き<その理由が何であるか?>特派員として現地を訪問して様々実感した。日本の国際協力を考える多くの人びとにこの実情を報告する役割をNaFu!に必要とされ託されたのだ。
NaFu!が計画するスリランカ井戸プロジェクトに際し、この下見調査での体験が当活動の意味を裏付け活動の継続達成に向け方針が固まり役立てた。
ダンミカ長老指揮の下、今回の調査はすべて安全に終えることができ平和な世の中になるが現状困窮しているところには一刻も早く訪問し復興の手をさしのべることが大切であることを学び現地視察協力協働の作業を概ね終えた。

・大統領官邸訪問・夫人と面談:
29日には大統領官邸に招かれ大統領夫人と交流の機会を賜わる。奈良県より準備した平城遷都1300年記念事業のパンフレットを持参し概要を説明した。
大統領夫人はじめ国を挙げて、国内5か所800名モンテーソーリプレスクールの教育現場が存在し孤児こども教育を熱心に強化している。今回は夫人に同伴し直接説明を受けながら現場を見学する機会を得て大変光栄に感じた。 大統領と夫人のギリシャ訪問帰国翌日の本日、稀有なる再開が適った。日本の文化(空手道導入を見学し)を尊重されていることも伺い知った。
平城遷都1300年祭のパンフレットをお手に渡すと、すぐに目を通され「1300年祭を是非成功させてください。奈良は知っています。私たちも是非訪問してみたいです。またわが国には毎年8月には最後の首都キャンディにおいてスリランカ最大の祭り「ペレヘラ祭り」(年に一度仏歯寺にある本尊をご開帳)がありますが行かれたことはありますか?」と歓談、奈良遷都祭への激励と当活動へのお言葉を沢山賜わった。翌日は帰国の途に着いた。

・今後の活動
当会は、平城遷都1300年祭を記念し「スリランカに井戸を贈ろう!」を計画し現地調査を決断、実態調査に踏み込んだ。 来る2010年には県民市民の手と汗によるスリランカ国際協力事業が草の根で活性し共成できるよう県下~国内外広く活動を発信し幅広く賛同者を募集する予定。2009年5月外務省の新規ページ外務省グローカルネットシステムを立ち上がった際、トップぺージに当会スリランカ協力事業について奈良発信事業寄稿文として取り上げられアップされている。この計画がより具体化できるよう今後も慎重に手順を踏み現地と連絡を促進して一歩一歩大きな拍車をかけていければと体制を整える予定。今般の現地調査はその糸口の役割を果たしたのではないかと振り返る。
現地視察・調査実施が無事に成功できた陰には、これまでのスリランカ‐日本の多大な友好の絆と今回協働協力頂きました関係各位のご支援の賜であると心から感謝申し上げます。
一日も早いスリランカの復興を祈りつつ活動に邁進の所、各位のご協力をお願い申し上げます。

以上